「来年には使えなくなるんですよね?」と聞かれた朝

Amazon広告の商品コレクション枠が新フォーマットへ移行するという話をきっかけに、「AIに任せる範囲」をどう決めるかを考えたコラムです。
この記事のポイント
- Amazon広告の「商品コレクション」が新フォーマットへ移行しつつあり、2027年1月には旧形式の新規作成ができなくなるとされている
- 新フォーマットは掲載商品が3〜10個必要になり、商品選びや見出しの一部をAmazon側が担う仕組みに変わるという
- 「AIに任せる」広告が増える中で、人の判断として何を残すべきかを、クライアントとの会話から考えた
「このバナー、来年には使えなくなるんですよね?」
十月に入ってすぐの火曜日、ECの運営を手伝っているクライアントとの定例ミーティングで、担当の方がノートパソコンの画面をこちらに向けながらそう言った。画面にはAmazon広告の管理画面が映っていて、ブランドロゴと商品を並べて見せるいつものバナー広告が表示されていた。
え、と思った。
聞くと、管理画面の隅に「このフォーマットは今後ご利用いただけなくなる予定です」という案内が出ていたらしい。恥ずかしい話、僕自身はその通知をまだ見ていなかった。打ち合わせの後、急いで事務所に戻って調べてみると、たしかにそういう話だった。
「使えなくなる」の中身を確かめる
調べてわかったのは、Amazon広告の「Sponsored Brands 商品コレクション」という枠が、新しい形式に置き換わっていく途中にあるということだった。海外の広告運用メディア複数が報じている内容によると、2026年9月ごろから新規に作るキャンペーンは自動的に新しい形式に切り替わり、2027年1月には旧形式での新規作成自体ができなくなる、とされている。
ただし、既存のキャンペーンがいつまで、どういう扱いで配信を続けられるのかは、現時点で僕が確認できた範囲でははっきりしない。記事によって書きぶりが少し違う部分もあった。なので、まずはAmazon広告の公式な案内を、クライアントと一緒に自分たちのアカウント上で確かめるところから始めることにした。
3個から10個へ、という変化
旧フォーマットは、掲載できる商品が最大3個で、見出しの文言もライフスタイル感のある画像も、こちらで自由に作り込めるものだった。新しいフォーマットでは、掲載する商品を3〜10個に増やす必要があるという。
一見、掲載できる商品が増えるだけの話に見える。でも実際には、「3個までなら自信を持って選べたのに、10個となると何を基準に選べばいいのか分からない」という、わりと地味な悩みが先に立つ。クライアントの担当者も、まさにそこで手が止まっていた。
選ぶのは人か、Amazonか
新しいフォーマットには、大きく分けて二つの型があるらしい。ひとつは掲載する商品を自分たちで3〜10個選ぶ型、もうひとつはキーワードだけを設定し、掲載商品の選定をAmazon側に委ねる型だ。
後者の場合、閲覧履歴や購入傾向をもとに、見る人ごとに表示される商品が変わる可能性がある、という説明もあった。旧フォーマットと比べると、次のような違いがあるようだ。
- 商品の選び方:自分で選ぶか、Amazon側が自動で選ぶかを選択できる
- 見出しの扱い:自動生成に加えて、手動での入力も選べるとされている
- 画像の自由度:ライフスタイル画像は使えなくなり、ブランドロゴの表示も必須ではなくなるという
「AIにお任せして平気ですか」
一通り仕組みを説明したあと、担当の方からこう聞かれた。
「これ、商品選びまでAmazon任せにしちゃって、本当に平気なんですかね」
正直、僕にもまだ答えはなかった。自動で選ばれた商品の方が、人の勘より売れるという話も見かけたけれど、それは海外の事例であって、このクライアントの商品カテゴリーでそのまま当てはまる保証はどこにもない。
「平気かどうか」はデータで見る
だから、その場で結論を出すのはやめた。人が選ぶ型と、Amazon側に任せる型を、しばらく並行して走らせてみようという話になった。
「任せていいかどうか」を決めるのは、僕らの感覚ではなく、CTRやCVR、最終的な粗利までを見た数字のはずだ。管理画面上のコンバージョン数だけで判断しないことも、改めて二人で確認した。少なくとも一定期間は様子を見る必要があるし、結論を急いで損をするのは避けたい。
期限から逆算してやること
とはいえ、期限自体は向こうから決めてくる話だ。悩んでいる間にも時間は過ぎていく。打ち合わせの最後に、当面やることを三つだけ確認した。
- 入稿に使っているテンプレートを、最新のものに更新しておく
- 今動いているキャンペーンのうち、対象になりそうなものを洗い出す
- 人が選ぶ型とAmazon任せの型を、小さく並行して試す期間を確保する
どれも地味な作業だけれど、期限が来てから慌てて動くよりは、ずっと気持ちが楽だ。
任せる部分と、残す部分
事務所に戻る道すがら、今日のやり取りを振り返っていた。広告の運用は、この数年でずいぶんと自動化が進んだ。入札も、配信先も、今回のように掲載商品そのものも、少しずつ機械に委ねられる範囲が広がっている。
それ自体は、悪いことだとは思わない。むしろ、細かい調整に割いていた時間を、別のことに使えるようになるのはありがたい。ただ、何を任せ、何を自分たちの判断として残すかを決めるのは、結局人の仕事なのだろうと思う。
商品の並べ方はAmazonに任せられるようになっても、「このブランドで、誰に、何を届けたいか」という目的だけは、たぶん誰かが決めないと始まらない。来年の期限までに、僕らが本当に確かめておくべきことは、案外そこなのかもしれない。



