2005年3月、僕は東京、錦糸町にいた。大学時代からの友人のN君と上野でパチンコに興じた僕は、その後4月から製薬会社のMRとして働く彼の独身寮で酒でも飲もうということになり、選択肢がない僕らは激安スーパーにより、半額になったサラダ巻きとキ○ンラガービールを2本ずつ購入し、独身寮への帰路へつく。選択肢がなかったのはパチンコでボロ負けしたからです。
今日もしょうもない1日が終わった、学生最後のモラトリアム期間も特に変わらない、海外や国内観光地に卒業旅行に行くこともなければ盛大に上京送別会が行われたわけでもない、何も変わらない日常だった。(大学は福岡だったのでN君も僕も上京して数日後です)
1ルームの独身寮
独身寮では僕はダラダラとテレビを見ながら缶ビールを開ける。
N君はさすが理系学部だからというわけではないが、777TOWNというサイトで今日の収支を入力し、なぜ自分が負けたかをぶつぶついいながら分析していた。
特に何かを話すわけではない、僕はテレビを見ているしN君はパソコンでオンラインのパチスロを続けている。僕らが一緒にいる意味は特になかったかのように思う、僕も4月からの自分の拠点である、千葉のマンションに帰ることもできないことはなかった。ただきっと、僕らは不安だったのだと思う。
これから社会人になる自分たち、うまく仕事はやれるのか、この仕事で本当によかったのか、地元を離れた僕らは関東でやっていけるのか等、きっととてつもなく不安だったんだと思う。
だからあれはきっと共依存に近い、僕らは傷の舐め合いをモラトリアムを共に過ごすことでおこなっていたのだろう。今思うと人間強度が下がりそうな話ではるが、僕にとっての青春はあれだったなとも思う。
1ルームの独身寮は少しカビ臭く、埃っぽかった記憶があるが、どこか懐かしく妙に落ち着いたのを覚えている。ただ、その頃僕には九州に心残りがあったため、関東に飛ばされた自分に定期的に苛立ちと落ち込みが湧き立つ時間がよくあったことを覚えていて、まさにそのタイミングでそんな気持ちになっていたことを未だに思い出す。せっかくまったりしていたのにまた考えてしまったよ的な感じでした。今思うと何かの病気だったのかもしれない。
無駄な不安とイライラ、焦燥感からか気付くとキ○ンラガービールは2本目に入ろうとしていた、空いた缶を無気力に眺めながら思う。(パチスロも負けてるのでお金もない、多分詰んでた。)
そういやなんでまたキ○ンラガー買ってるんだろうか。
人は、人を思う。
大学3年生の頃、就職活動を始めるにあたって、僕はどの業界を目指すかで悩んでた。中学生の頃からWebサイトは制作していたし、もっと幼い頃はゲームクリエイターになりたいぐらいゲームが好きだったし、高校、大学はバンドばっかりやっていた。でもどれも「本物」になるほどの実力も根性も情熱も根気もなかった僕がぶち当たったのは、「何がやりたいかわからない就活間近な大学生」という自分の「詰んでいる」現状でした。
そろそろ決めなければいけない、姉のように教師になるように教職課程を履修したわけでもないし、教えることにも興味はない。地元にはなんとなく帰りたくない。モラトリアム真っ最中の僕は夜、ふとこのCMを見るのです。
お酒は金がかかるから嫌いで、コミュ障の僕は飲み会なんて人の多い場所はもっと嫌いでした。ただこのCMを見た時、心が激しく揺さぶられたような気がした。自分が小学生の時に親父に連れて行ってもらった2軍しか出てこない田舎の球場のオープン戦のことを思い出して急にホームシックになり、泣きそうになったことを覚えています。
CM見たあと、僕は徐に自然とコンビニ向かい、キ○ンラガービールを買うのです。ビールは嫌いですし、今は缶ビールは全く飲みませんが、その苦い液体を飲みながら考えたのです。
こんなに美味しいと思わないのに、コーラより高い飲み物を買ってしまった。。。
この時僕は気付くのです。「広告は人の心と消費行動を動かすんだな、と。」
果たしてその時の僕にどこが響いたでしょうか、それが親父が好きな野球だったから内容に共感したのか、音楽だったからなのか、コピーだったからなのか。全部なのか。わからなけど今見てもいいCMだなって思います。キ○ンラガーは今はもう買いに行かないですが。
それから就職活動では広告業界を志望し、右往左往するのですが、結果。音楽業界に行くことになります。で、さらになぜか関東に新卒でいきなり飛ばされます。(当時の新卒採用担当者さん、僕は九州採用だったはずですよね?)ちなみに九州採用は30名いて、関東に飛ばされた?のは2名です。
配属通知書をみてまいったなぁと思いながら父親に電話した記憶があります。
「俺東京に飛ばされたわ、関東に引っ越さなきゃ」と。
そうして冒頭に戻る感じです。
紆余曲折を経て広告業界へと。
その後紆余曲折を経て僕は音楽業界から離れ、九州に一度帰ります。別に嫌いじゃなかったです。リアル営業として働いた音楽業界。ヤ○ザみたいな営業キャラバンしたり、ナイト店の集金したり、当時は上場企業とは思えない会社でしたが、楽しかったので続けてもいいかなと思っていましたが、このままだと何年たっても九州には帰れそうにもないと思い、早く帰らないと取り返しがつかないことになる気がするとなぜか思い、九州に帰ります。
その後縁があって福岡でウェブ制作を教えるスクールで働くことになり、人に何かを教える仕事をします。これが意外と楽しかったので、もし次の人生があれば教師もいいなと思っていたりします。
その後、教えるだけでは物足りなくなり、制作会社に移り、制作の現場を一通り経験し、独立します。独立した僕はその後制作事業だけではなく、インターネット広告代理事業も始めることとなり、今にいたるのですが、
この話何が言いたいかというと、僕の思い出話でしかないんですが、僕ですね、色々ぐるぐるしたんですが、今広告の仕事やれているんです。学生の頃に思い描いたキラキラ感とは違いましたが、人の消費行動に関われてるのです。
ものが売れるには理由があります。価格なのか機能なのか、ブランドなのか等、その商品の業界での立ち位置と強みを理解して、正しい広告と露出媒体を選べば売れるものは売れるのが世の中です。
心を動かすことが消費行動を動かすというのは僕の真理であり、心を動かすのが価格なのか機能なのか、ブランドなのか、はたまた、広告そのものなのか。ということではあるのですが、その仕事を今、僕はやれているということを心の底から幸せに思います。
追求に終わりはなく、答えがあるわけでもない。でも結果はしっかり数字に現れる。
やりがいしかないと本当に思います。
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